チェンバロ製作家安達正浩 – クラヴサン工房アダチ
〒465–0005 名古屋市名東区香流3–507
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クラヴサン(チェンバロ)は、時代、国、地域で、それぞれに魅力ある独特な音色を作り上げてきました。それはまさに、時代の環境や雰囲気、人種、地域気質からくる好みなどと密接に係わり、音楽に直接影響を与えかつ、与えられて発展してきました。それぞれのスタイルの持つ魅力を最大限に引き出した楽器を製作したいと思っております。そのためそれぞれのスタイルの楽器を作るため、一度現代の先入観を捨てて、その時代の感覚に触れるため、その当時の音楽、芸術、思想そして、当時の製作法の「なぜ」を考え味わい、さらにオリジナル楽器に直接触れその感覚を吸収し常に自分自身に新しい感覚を発見しそこから出発する努力をしております。
古典的製法で、製作することは、当時の製作者がどんな感覚を持っていたかを感じる良い案内役であるばかりでなく、その材料、技法の選択がいかに、楽器の出来の味わいの深さを追求していた結果であるかを教えてくれます。また出来る限りの手仕事を心がけております。手道具で製作することは、第一に木からの直接の感覚を体験することを可能にして呉れます。また目で見て確認し作業を進めるために、気がつく、ものを見るという感覚を育ててくれます。あるスタイルの楽器の音、出来を体を通した感覚で判断してその中に自分の音を作りだしていくことこそ楽器づくりの喜びであると思っております。
基本的に受注生産となっています。楽器のスタイル、デザイン、大きさ、配色、音域、音色 他。すべてご要望にお応え出来ます。お気軽にご相談ください!
上品な音色と美しいフォームニーズにお応えするチェンバロ製作いたします。
クラヴサン工房アダチ
主宰:安達正浩
できる限り、そのスタイルに使われていた材料と同じものを使用することから出発しておりますが、より良いと感じるものがあれば、それを使用します。現在は、ほとんどフランス、スイス、オーストリア系統の材料を使用しております。響板に関してはその優秀さから北海道産のものも時に応じて使用しております。
牛骨、黒檀、ツゲ、ナシ
手前:鍵盤の材料;後:シャープキー
ツゲと黒檀
イタリアタイプ鍵盤
黒檀、牛骨、ナシ
フランスタイプ鍵盤
ポプラ、モチノキ(柊)、クルミ、ナラ
ヒノキ
装飾部品
イノシシの毛、ブナ、柊
ジャック材料
ポプラ
チェンバロボディー用天然乾燥
ポプラ
チェンバロ内部部材用天然乾燥
17、18世紀当時、特にフランスの製作法を基本に製作をしております。木と木を接着する音響に重要な接合部には用途に応じた種類、硬さに調合した膠を使用し、アクション部分は木製ジャック、獣毛のスプリングなど伝統的な材料を用い長期間に渡る耐久性とアコースッティク感のある弾き心地の良さを大切にしております。塗装法もそれぞれのスタイルにふさわしい塗装法を選択し、後期フレンチには石膏地を用いた重厚な方法をおすすめしております。音響に関わらない部分で現代的な方法が、より良い結果を生むと考えられる場合には積極的その工法材料を使用し現代の製作家として、良い伝統を発展させていきたいと努力しております。
イタリアンヴァージナル響板膠接着
イタリアンチェンバロ弦張り作業
イタリアンチェンバロ部材ニス塗装
フレンチチェンバロ蓋金箔装飾
蓋金箔装飾仕上げ塗装
イタリアンヴァージナル仕上げニス塗装
フレンチ二段鍵盤、鍵盤製作 | イタリアンチェンバロ一段鍵盤及びヴァージナルボディ製作 (材料:糸杉、ヒノキ等) |
弦のヒッチピンにかけるための玉製作 | 弦張り作業 |
基本的に日本の道具を使用して製作しております。外国の道具も良いものですが、メンテナンス、購入の多様性という面では日本の道具にやはり利点があります。装飾的面取り鉋や鍵盤全面のフロントン装飾などは日本の道具では優しい曲線の為、よりメリハリのあるチェンバロ装飾には道具を自作しております。締め具に関しては鋳物の物は日本大型はドイツ、角度をつける締め具はアメリカ製を使い分けております。下に紹介したものは一部で一度だけ使用する道具や、冶具と呼ばれるもの製材の為の大型機械など、多くの道具によって製作しております。
鉋類
特殊鉋
面取り鉋
突き鑿類
叩き鑿類
測定具一式
鋸、玄能類
締め具類
チェンバロ製作において接着は大切な作業です。チェンバロの弦の張力は一本で約4キロ60音で240キロの力が、大型の楽器ではその3倍近い力が継続的に木材のみで作られた楽器本体にかけられています。現代の合成接着剤は基本的に石油から作られたビニール類といってよいもので20年ほどすると多くの楽器に接着剤が伸びてしまい剥がれが見られます。また木と木の間にビニールの層を作りその両側に木材を保持することで接着をするので木材―接着剤―木材のサンドイッチ状になり音響的にも吸音材を挟んで作ることになってしまいます。
これに比べ天然材料の膠での接着は膠が楔のように木材にしみ込み相手の木材の中の膠と手をつなぎ、あたかも一つの木材のように接着をいたします。さらにその強度は固まると刃物もかけてしまう程の強度を持ちます。木は壊れても接着面は壊れないほどです。膠はその強度を弱くもでき弦楽器の接着では乾燥の割れを弱い膠が外れるように木を守ることもできます。修理も簡単で溶かすことにより接着面の木材を壊すことなく分解し元通りに接着しなおすこともできます。当工房では膠を使用して製作をいたしております。
接着剤膠各種類
膠使用状態